会社設立1年目・法人成り1年目の事業年度を7か月にする理由

「設立1年目、法人成り1年目の決算期間は7か月がオススメだよ」と聞くことががあります。

普通に考えたら7か月で区切る必要は全くないし、なぜそんな話がでるのでしょうか。

そこには、「消費税の課税対象者の考え方」が影響しています。

消費税の課税対象者とは?

消費税には納税義務のある「課税事業者」と納税義務のない「免税事業者」がいます。

原則は皆が「課税事業者」なのですが、以下のような条件を満たすと「免税事業者」となります。

免税事業者の主要な条件

  1. 資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満
  2. 基準期間における課税売上高が1,000万円以下
  3. 特定期間における課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円以下

条件1:資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満

まず大前提として、会社設立時の資本金が大きすぎると初年度から課税事業者となりますので、注意が必要です。

条件2:基準期間における課税売上高が1,000万円以下

基準期間とは、個人事業主の場合は原則として前々年、法人の場合は原則として前々事業年度のことをいいます。
簡単に言うと、2年前の課税売上高(1年分)が1,000万円以下であれば免税事業者です。

「設立1年目は消費税の納税義務がない」とよく言われますが、この条件2が根拠となります。設立1年目は当然2年前の課税売上高がない状態ですので、「基準期間がない」ものとして条件2の要件を満たし、免税事業者となります。

条件3:特定期間における課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円以下

特定期間とは、個人事業主の場合は前年1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は原則として前事業年度開始の日以後6月の期間のことを言います。

こちらも簡単に言うと、前期の上期6か月間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、課税事業者になります。

売上が超えない場合でも、給与の支払い(役員給与を含みます)が1,000万円超えてしまうと課税事業者となります。設立時に売上はないが従業員を雇い、これから売上を伸ばしていこうという会社も注意が必要です。

「設立2年目も消費税の納税義務がない」とよく言われますが、この条件3が根拠となります。設立2年目の2年前は、設立前で課税売上がない状態ですので、「基準期間」がありません。そして、1年前=設立1年目の最初6か月間の「課税売上高」が1,000万円以下であるならば、「特定期間の課税売上高が1,000万円以下」のものとして条件3の要件を満たし、免税事業者となります。

7か月要件は何に関係するの?

消費税課税事業者の対象が分かったところで、7か月の話が何に繋がるのか、解説致します。

短期事業年度の特例

7か月要件とは、この「短期事業年度の特例」のことです。

短期事業年度の特例とは

設立1期目が7か月以下の場合:「特定期間」として識別しない
設立1期目が8か月未満の場合:「特定期間」が若干短縮される(7か月半であれば特定期間は5か月半になるイメージです。)

このことから、設立初年度を7か月とすることで課税事業者を判断する「特定期間」がないこととなります。

つまり、以下の図のような違いが生まれます。

初年度事業年度12か月初年度事業年度7か月
設立1年目基準期間・特定期間なし
→免税事業者
基準期間・特定期間なし
→免税事業者
設立2年目基準期間なし・特定期間あり
:1年目(特定期間)の開始~6か月間の課税売上高で決まる
 ・課税売上高1,000万円以下→免税事業者
 ・課税売上高1,000万円超 →課税事業者
基準期間なし・特定期間なし
→免税事業者
※設立1年目が7か月以下の場合、特定期間として認識されない
設立3年目以降基準期間あり・特定期間あり
:2年前(基準期間)の課税売上高で決まる
:1年前(特定期間)の開始~6か月間の課税売上高で決まる
基準期間あり・特定期間あり
:2年前(基準期間)の課税売上高で決まる
:1年前(特定期間)の開始~6か月間の課税売上高で決まる
もし設立1年目に1,000万円超稼いでいたら最長で1年間の免税期間最大で1年7か月の免税期間
*設立1年目が7か月以下の場合でも、「基準期間」としては識別されます

まとめ

既にある程度の事業規模を持つ場合の法人成りにおいては、設立初年度を7か月とすることで「短期事業年度の特例」を使用して1年7か月間消費税の免税事業者になることが可能です。
具体的には、設立後6か月間の課税売上高が1,000万円を超えることが見込まれるのであれば、設立初年度を7か月にすることで消費税の節税をすることができるため、おすすめです。

このように、創業時に決定したことで、後々の税金が大きく左右されることは多々あります。会社設立時に税金について不安なことがございましたら、仲田公認会計士・税理士事務所まで是非ご相談ください。

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この記事を書いた人

仲田 峻
仲田 峻
公認会計士・税理士・ITストラテジスト

山梨県、仲田公認会計士・税理士事務所の代表です。「企業・経営者の町医者」をテーマに、経営の身近な相談相手でいたいと思っています。
強みは「クラウド会計と経営・ITに精通」「中からも外からも企業のことを熟知」「中小/ベンチャー/起業支援の実績」。
スノーボードとサッカーとブラックコーヒーとONE PIECEが好きです。

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