定額法と定率法の減価償却計算方法について、まとめてみた
以前、自分への備忘も込めて「減価償却方法をまとめてみた(個人事業主・法人)」という記事を書きましたが、
その具体的なの計算方法についても、備忘として記録しておきたいと思います。
これも、世の中にあふれるほど記事があるため、当記事では限りなくシンプルにして記載したいと思います!
定額法の計算方法
定額法は、考え方としては、取得価格を耐用年数で割った金額が、償却額となります。
そして、税法上はご丁寧なことに、「定額法の償却率」としてまとめてくれています。
つまり、以下が定額法の計算式になります。
定額法の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
「定額法の償却率」ですが、コチラ にまとまっております。
事例
モノ :ソファー
取得価額:300,000円
事業供用:2023年1月1日(期首)
事業年度:1月1日~12月31日
耐用年数:5年
定額法償却率:0.2
1年目:
減価償却費:300,000 × 0.2 = 60,000円
未償却残高:300,000 - 60,000 = 240,000円
2年目:
減価償却費:300,000 × 0.2 = 60,000円
未償却残高:240,000 - 60,000 = 180,000円
1年目:
減価償却費:300,000 × 0.2 = 60,000円
未償却残高:180,000 - 60,000 = 120,000円
1年目:
減価償却費:300,000 × 0.2 = 60,000円
未償却残高:120,000 - 60,000 = 60,000円
5年目:
減価償却費:300,000 × 0.2 = 60,000円 ⇒ 1円残るように59,999円とする
未償却残高:60,000 - 59,999 = 1円
なお、最後の年は、備忘価格として減価帳簿価額を1円残して計上します。
定率法の計算方法
定率法は、考え方としては、買った最初の方が利用するんだから、減価償却費の計上金額は最初が大きく、だんだんと小さくなっていくべきだよね、という考え方です。減価償却費が一定の割合で減少するように計算します。
こちらも、税法上、「定率法の償却率」をまとめてくれています。
つまり、以下が定率法の計算式になります。
定率法の減価償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率
「定率法の償却率」ですが、コチラ にまとまっております。
なお、定率法で厄介なのは、「償却保証額」「改定取得価額」「改定償却率」という考え方です。
これは、定率法では、最初は大きく・だんだん小さく償却してくので、後半になればなるほど、償却額が小さくなりすぎることを防ぐために設定されています。
上記の式の減価償却額が「償却保証額」に満たなくなった場合、その年分以後は
定率法の減価償却費 = 改定取得価額 × 改定償却率 という式になります。
「償却保証額」「改定取得価額」「改定償却率」についても、コチラ にまとまっております。
事例
モノ :ソファー
取得価額:300,000円
事業供用:2023年1月1日(期首)
事業年度:1月1日~12月31日
耐用年数:5年
定率法償却率:0.4
定率法改定償却率:0.5
定率法保証率:0.108
まず初めに、償却保証額を求めます。
償却保証額 =取得価額× 定率法保証率
=300,000 × 0.108
=32,400円
そして、償却していきます。
1年目:
減価償却費:300,000 × 0.4 = 120,000円
未償却残高:300,000 - 120,000 = 180,000円
2年目:
減価償却費:180,000 × 0.4 = 72,000円
未償却残高:180,000 - 72,000 = 108,000円
3年目:
減価償却費:108,000 × 0.4 = 43,200円
未償却残高:108,000 - 43,200 = 64,800円
この例の場合、4年目の計算の時に注意が必要です。
4年目:
減価償却費:64,800 × 0.4 = 25,920円
ここで、減価償却費が償却保証額の32,400円を下回ったので、4年目から「改定取得価額×改定償却率」での計算に変更します。
4年目(再計算):
減価償却費:64,800 × 0.5 = 32,400円
未償却残高:64,800 - 32,400 = 32,400円
5年目:
減価償却費:64,800 × 0.5 = 32,400円 ⇒ 1円残るように32,399円とする
未償却残高:32,400 - 32,399 = 1円
先ほどの定額法と同様、最後の年は、備忘価格として減価帳簿価額を1円残して計上します。
端数が出たら?
小数点以下の端数は、「切り上げ」です!
まとめ
なるべくシンプルに、欲しい情報だけをまとめてみたつもりですが、いかがでしたでしょうか。
特に定率法の改定償却率については混乱するので、自分自身も困ったらこちらで復習したいと思います!
この記事を書いた人
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公認会計士・税理士・ITストラテジスト
山梨県、仲田公認会計士・税理士事務所の代表です。「企業・経営者の町医者」をテーマに、経営の身近な相談相手でいたいと思っています。
強みは「クラウド会計と経営・ITに精通」「中からも外からも企業のことを熟知」「中小/ベンチャー/起業支援の実績」。
スノーボードとサッカーとブラックコーヒーとONE PIECEが好きです。
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