個人事業主が事業専用口座・事業専用クレカを作るメリット・デメリット（業務効率化に有効です）

2023年8月21日 2023年8月21日仲田峻

仲田峻

個人事業主の方は、プライベート用の銀行口座・クレカをそのまま事業用に利用されている方もいるかと思います。
しかし、私は百害あって一利なしだと思います。

今回は事業専用の銀行口座・クレカを作る（若しくは既存口座・クレカを事業専用にする）メリット・デメリットについて考えてみます。
※クラウド会計に紐づけていることを前提とします。

事業専用の銀行口座・クレカを作るメリット
事業専用の銀行口座・クレカを作るデメリット
まとめ＝事業専用口座・クレカを作る一択です

事業専用の銀行口座・クレカを作るメリット

仕訳が減る/誤りが減る

クラウド会計の場合、銀行口座の入出金やクレカの利用明細が自動的に会計データに反映されます。

プライベートと一緒の口座・クレカの場合

プライベートで引き出したお金や事業とは関係ないカード利用、個人的な水道光熱費や社会保険料などの引き落としなど、事業とは関係ない入出金・クレカ利用も、クラウド会計上、仕訳候補に反映されます。

事業主貸や事業主借で記帳すればよいだけですが、一つ一つの入出金が事業と関係があるのかないのかを考えるのが大変面倒くさいのですし、誤りの元となるため、プライベートと一緒にするのは全くオススメしません。

事業専用の口座・クレカの場合

上記のような面倒・誤りは、事業専用の銀行口座・クレカを作ることで回避できます。

事業と関係ある入出金や利用明細しかないことになるので、期間中の入出金さえ正しく記帳すれば、預金に関する仕訳の漏れや残高の不一致はなくなります。仕訳数もぐっと少なくなり、誤りも少なく、記帳もかなり楽になります。とてもオススメです。というか、この方式一択だと思います。

事業でどれだけ稼いだかが一目瞭然/資金繰りも視える

銀行口座で言えば、事業全体でいくら稼いだのかが一目瞭然です。例えば、開業時に自己資金100万円からスタートして、年末に350万円まで口座残高が増えていたとすれば、250万円のキャッシュを獲得したということです。プライベートの入出金が混ざっていると、その事業で儲かっているのかどうかが、ぱっと見で、分かりません。

そしてクレカで言えば、事業として経費をどれだけ使ったのかが一目瞭然です。

事業でどれだけ稼いで、どのくらいの経費があって、残高としていくらあるのかというのは、毎月の資金繰りを考えるうえでもとても大切な情報になります。資金繰りという観点からも事業専用の銀行口座・クレカは大きなメリットがあるといえます。

屋号付きであれば、なお良い（信用力アップ）

お客様へ請求書を送付する際に、銀行口座名が個人名であるよりは、屋号が銀行口座に付いている方がお客様からの信頼感や安心感につながることはあると思います。

事業専用の銀行口座・クレカを作るデメリット

口座開設の手間や既存口座・カードを整理する手間がかかる

新しく銀行口座・クレカを作る場合、当然その手間があります。屋号付き口座にする場合は、さらに開業届が必要になるなど通常の口座開設よりもその手間は大きくなります。

すでに作成済みの銀行口座・クレカを事業専用にする場合は、その口座でプライベートの引き落としや入金がないか、プライベートで定期利用している明細がないか確認したり、もしあれば別の口座・クレカに変更するなどの手間がかかります。

一度の買い物でも、会計を分けて、使うクレカを変える手間がある

クレカの場合、例えばホームセンターで「事務用コピー用紙」と「オレンジジュース」を購入するとします。前者は事業用、後者はプライベート用になります。一緒のクレカでカードを切ってしまうと、両者が混ざってしまい、後々クラウド会計連携時に面倒臭い＆誤る元となります。

こういった場合、会計を分けて、別のカードで切ることを強くオススメします。が、少し手間に感じるかもしれません。

屋号付き口座の場合、個人口座ではなく「個人事業主」口座となり、ネットバンキング手数料や口座維持手数料がかかる

屋号付き口座を作る最大のデメリットはコレだと思います。通常の個人用の口座とは異なり、ビジネス用となるため、ネットバンキング手数料や、口座維持手数料がかかります。

信用とのトレードオフみたいなものですね。

ですので、可能であれば屋号付き口座を、コストとの兼ね合いで難しければ、屋号付き口座はいらないかもしれません。

まとめ＝事業専用口座・クレカを作る一択です

最初にひと手間かかるかもしれませんが、経理業務の効率化や資金繰り、信用力などの観点で計り知れない大きなメリットがあります。

必ず、プライベートの銀行口座・クレカとは分けて、事業専用の銀行口座・クレカを作りましょう！そして、業務の効率化を目指しましょう！

※屋号付き口座については、再掲ですが、コストとの兼ね合いで検討すればよいと思います。要は、利用が「プライベート用」と「個人用」に分かれていればよいので。

この記事を書いた人

仲田峻

公認会計士・税理士・ITストラテジスト

山梨県、仲田公認会計士・税理士事務所の代表です。「企業・経営者の町医者」をテーマに、経営の身近な相談相手でいたいと思っています。
強みは「クラウド会計と経営・ITに精通」「中からも外からも企業のことを熟知」「中小/ベンチャー/起業支援の実績」。
スノーボードとサッカーとブラックコーヒーとONE PIECEが好きです。

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