預り源泉所得税、住民税、社会保険の取り扱いについて

給与の仕訳を起票する際、「預り金」として計上する内容に、「源泉所得税」「住民税」「社会保険(従業員負担分)」があります。
給与 xx / 未払金 xx
/ 預り金(源泉所得税) xx
/ 預り金(住民税) xx
/ 預り金(社会保険料) xx
という仕訳となりますが、
特に起業したての会社は、「いつの給与から天引きを開始するの?」「預り金はいつ消すの?」と疑問に思われる会社も多いのではないかと思います。
そこで、預り金の計上タイミング、消去タイミングについて、まとめてみました。
※雇用保険は後述します。
預り金(源泉所得税)について
源泉所得税に関しては、給与を「実際に支払った」月の翌月10日納付となります。
以下は例示で考えてみます。
7月20日締7月末払の場合
■7月末(給与計算と給与支払)
給与 xx / 未払金 xx
/ 預り金(源泉所得税) xx
/ 預り金(住民税) xx
/ 預り金(社会保険料) xx
未払金 xx/ 普通預金 xx
■8月10日(源泉所得税の納付)
預り金(源泉所得税) xx / 普通預金 xx
..
7月末締8月末払の場合
■7月末(給与計算)
給与 xx / 未払金 xx
/ 預り金(源泉所得税) xx
/ 預り金(住民税) xx
/ 預り金(社会保険料) xx
..
■8月末(給与支払)
未払金 xx/ 普通預金 xx
■9月10日(源泉所得税の納付)
預り金(源泉所得税) xx / 普通預金 xx
このように、実際に支払った月次第で、1ヵ月ズレることとなります。
なお、従業員が少ないところで、源泉所得税の納付の特例(通称のうとく)を適用している場合は半年に一回納付することが認められています。
- 1月から6月分:7月10日まで
- 7月から12月分:翌年1月20日まで
となります。
預り金(住民税)について
住民税は、前年1月~12月の所得に対して計算され、その年の6月から翌年の5月にかけて給与から天引きされ、給与を「実際に支払った」月の翌月10日納付されます。
新社会人の方が1年目に住民税を天引きされないのは前年の所得がないためですね。また、転職の場合は以下の2パターンに分類されます。
1月から5月までに退職した場合
5月までの月数分の住民税について、最終の給与もしくは退職一時金から控除されます。
6月から12月までに退職した場合
退職後給与控除できない分について、市区町村から送付されてくる納付書によって、個人で納付するのが原則です。
しかし、退職する会社の最終の給与もしくは退職一時金にて住民税の残額を控除することを希望すれば、一括で支払うことも可能です。方法は会社と相談してみましょう。
退職する際に転職先がわかっており、転職先で来年の5月までの住民税の給与控除について引き継ぐことができる場合もあります。
なお、天引き→納付 の流れは、源泉所得税と同様です。源泉所得税と同様に納期の特例の制度もありますが、
- 6月から11月分:12月10日まで
- 12月から翌年5月分:翌年6月10日まで
となり、対象月と支払月が源泉所得税と異なります。
預り金(社会保険料)について
社会保険料は、「給与を実際に支払った月」とは関係なく、いつ徴収するかとなります(原則翌月徴収。例外当月徴収)。実際の支払は加入月の翌月末日が納付期限となります。以下、前提を原則の翌月徴収とすると、
入社即加入とすると、入社月が加入月となりますので、これも以下の2パターンに分類されます。
7月入社だとすると、
7月20日締7月末払の場合
■7月末(給与計算と給与支払)
給与 xx / 未払金 xx
/ 預り金(源泉所得税) xx
/ 預り金(住民税) xx
/ 預り金(社会保険料) xx
未払金 xx/ 普通預金 xx
■8月末(新しい給与計算と社会保険料の納付)
..
給与 xx / 未払金 xx
/ 預り金(源泉所得税) xx
/ 預り金(住民税) xx
/ 預り金(社会保険料) xx
未払金 xx/ 普通預金 xx
預り金(社会保険料) xx / 普通預金 xx
..
7月末締8月末払の場合
■7月末(給与計算)
給与 xx / 未払金 xx
/ 預り金(源泉所得税) xx
/ 預り金(住民税) xx
/ 預り金(社会保険料) xx
..
■8月末(給与支払と新しい給与計算と社会保険料の納付)
未払金 xx/ 普通預金 xx
給与 xx / 未払金 xx
/ 預り金(源泉所得税) xx
/ 預り金(住民税) xx
/ 預り金(社会保険料) 〇〇(この分は更に翌月)
..
預り金(社会保険料) xx / 普通預金 xx
実務としては、社会保険料は年金機構から20日頃に「保険料納入告知額通知書」という支払額の案内が送付されますので、同月末までに納付します(もしくは口座振替)。
雇用保険について
雇用保険は上記3つと異なり、前払いになっています。毎年6月1日から7月10日の間に、1年分の申告と保険料の納付を行います。そして1年後に正確に計算したものとの差額を精算、また1年分の見込みを前払いして、また1年後に精算…というサイクルを繰り返します。
実務上の仕訳としては、企業が前払いを行い、法定福利費/現金と仕訳を起票し、毎月の給与計算(=預り時)には給与/法定福利費とすることが多いです。
ですので、ここで預り金は発生しません。
おわりに
給与仕訳の預り金処理は、慣れないうちは非常にややこしいと思います。しかし、預り金をしっかり管理しておかないと決算時に「残高がおかしい」と混乱してしまうため注意しましょう!
この記事を書いた人

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公認会計士・税理士・ITストラテジスト
山梨県、仲田公認会計士・税理士事務所の代表です。「企業・経営者の町医者」をテーマに、経営の身近な相談相手でいたいと思っています。
強みは「クラウド会計と経営・ITに精通」「中からも外からも企業のことを熟知」「中小/ベンチャー/起業支援の実績」。
スノーボードとサッカーとブラックコーヒーとONE PIECEが好きです。
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